大澤和貴さん(平成9年機械科卒業)
『環境』を作ることが大人の役割
WROで全国優勝し、日本代表となったメカニカルアーツ部。顧問の大澤和貴教諭は、名電高校の卒業生です。2023年の全国優勝、世界7位の成績についてお話を伺いました。
広報委員会(以下、広報):全国大会優勝、世界7位おめでとうございます。
大澤先生(以下、大澤):ありがとうございます。生徒たちの努力の成果です。名電はスポーツだけではない、ということを示せて嬉しいですね。
【成績】
●2023年8月27日(日) WRO 2023 Japan 決勝大会in Tokyo
ロボミッションエキスパート部門 シニア部門:優勝
●2023年11月7日(火)~9(木) WRO 2023 パナマ国際大会
ロボミッション シニア部門:7位入賞(参加90チーム81か国)
※WRO(World Robot Olympiad)とは、シンガポールサイエンスセンターの発案により、2024年に始まった自律型ロボット(25×25cm内に入るサイズ)による、世界最大級の国際的なプログラミングコンテスト。世界中の小学生から高校生を対象に開催。
WRO 2023 Japan 決勝大会in Tokyoで「優勝」の記念撮影。左から、大澤教諭、「meiden1年チーム」の堀田くん、猪俣くん、楠本くん
広報:WROの大会について、教えてください。
大澤:ルールは、1チーム3名でロボットを2回走らせてタイムなどを競います。ただし1走目、2走目とも内容が異なります。1走目は、港に見立てた盤上でロボットをいかに早く正確にコンテナを積み降ろし、指定の場所まで運べるかを競います。2走目は、当日発表のお題に対し2時間で考え、取り組むというものです。大会は、毎年テーマが変わりますし、ルールも変更されますので、毎回、創意工夫をこらしたチャレンジが必要です。そんな中で、1年生チームが2走とも満点で優勝ですから、興奮しましたね。優勝は顧問をしていて初めての経験でした。
広報:先生は、いつから顧問をされているのですか。
大澤:もう10年以上になります。元々は、顧問はもとより、教員になるつもりは無かったので、不思議な感じです(笑)。実は、大学生の時に名電高校で働かせていただいたことがご縁です。当時、教員ではなく、助手のような形(大学でいうTA制度の高校版)で、働いていました。大学卒業後は、民間企業へ就職しましたが、お声をかけてもらい、名電高校で教員になりました。
広報:高校時代からロボットを?
大澤:いいえ。当時はまだプログラミングはなかったです。ただ、機械科で学びましたので、お陰様で多くの資格を取得できました。大学進学せずに、就職でもよいと思えるほどでしたが、担任の奥田先生が「お前は大学へ進学したほうがよい」と熱心に言われ、今の道に繋がりました。それに、教員採用時には玉置先生が尽力されたようで本当に感謝しています。
広報:メカニカルアーツ部の活動はどのようなものでしたか。
メカニカルアーツ部の部室にて撮影。左から、大澤教諭、「meiden1年チーム」の猪俣くん、楠本くん、堀田くん。
大澤:最初は、大会を探してきては参加するという地道なスタイルでした。ここ数年は、特に成績が良くなってきましたね。
広報:今回は、全国優勝して、世界にも進みました。
大澤:これは1年生の力が大きいですね。彼らは、中学時代から経験を積んでいましたし、入部した時から目的意識を持って、自分たちで考えて主体的に取り組んでいました。すごい1年生チームです。
広報:全国大会のお話を聞かせてください。
大澤:実は、当日の会場では彼らとは一切接触ができないルールです。大会当日よりも、準備の段階がとても印象に残っていますね。東海大会から全国大会までは、約一カ月しかありません。ここで、彼らはギアを一段上げて、レベルの高い取り組みをしていました。その練習風景を見ながら「上位を狙えるのではないか」と感じました。
広報:当日はどんなアドバイスをされましたか?
大澤:「がんばれ」くらいでしょうか(笑)。当日発表のルールもありますので、課題をクリアするには、技術力や発想力、臨機応変な対応、チームワークが試されます。そんな中で、最高のパフォーマンスを発揮した彼らは本当に素晴らしいです。私は、彼らに関しては特に指導をしてきたわけではありません。ただ、彼らが練習しやすい環境を整えることが重要と、それだけに専念してきました。
その中で彼らは、勝つために必要なことを自分たちで考え、実行に移すことを日々繰り返していました。私は彼らから勝利のメンタリティを教えられた気がします。(文責:広報委員会 2024/2/29)
WRO 2023パナマ国際大会で撮影(1)左から堀田くん、楠本くん、猪俣くん
WRO 2023パナマ国際大会で撮影(2)左から猪俣くん、堀田くん、楠本くん